デパ地下に降臨した中華の巨人。萬珍樓そごう横浜店の「静かなる実力」
横浜駅東口の顔、そごう横浜店の地下食品街。長らくこの場所で愛されてきた「聘珍樓(ヘイチンロウ)」が去り、その跡地を引き継ぐような形で鳴り物入りで参入したのが、明治25年創業、横浜中華街の絶対王者「萬珍樓(マンチンロウ)」です。どうも、デパ地下の活気と本格中華の香りに誘われてフラフラと吸い寄せられてしまう30代男子、なおやんです。

お正月や中元・歳暮の時期には、豪華な点心詰め合わせや月餅を求めて、信じられないほどの長蛇の列ができることでも有名。「萬珍樓」という看板の持つ、横浜における絶対的な信頼感を、行列の最後尾に並ぶたびに思い知らされますよね。そんな巨塔が、売店のすぐ横にひっそりと(でも贅沢に)併設したのが、今回お邪魔した「萬珍樓茶房」。最高級の中国茶や名物の点心を、買い物のついでにサクッと、それでいて本格的に楽しめるイートインスタイルの極上カフェです。
場所はそごうの地下、名物「御座候(大判焼き)」のすぐ近く。オリエンタルでシックな、いかにも萬珍樓らしい高級感漂う店構えですが、客席はカウンターがメインでかなりこじんまりとしています。デパ地下の賑やかな通路に面しているため、「静寂の中でくつろぐ」というよりは、「ハマの喧騒を心地よいBGMに変え、名店の味を凝縮して楽しむ」といった、ある意味で非常に都会的で贅沢な空間っすな。買い物で歩き疲れた脚を休めるには、これ以上のロケーションはありません。
【実食報告】名門の味を少しずつ。アフタヌーンティーの光と影
メニューには目移りするような最高級の中国茶や自家製スイーツが並びますが、僕が今回選んだのは、多くの女性客も虜にしている一番人気の「ミニアフタヌーンティー」。中華街の名店の味を、スイーツから点心まで、宝石箱のように少しずつ色々楽しめるなんて、贅沢すぎて自分へのご褒美としては満点超えじゃないですか!

お茶とスイーツのクオリティは、流石の「萬珍樓基準」
セットのお茶は数種類から選べますが、僕がチョイスしたのは「金駿眉(きんしゅんび)」という最高級の紅茶。届けられた瞬間、透明感のある見事な琥珀色の水色(すいしょく)に目が釘付けになります。そして立ち上る、蜜のように甘く、どこか高貴な花の香り……。一口飲めば、その一切の雑味がないクリアな喉越しと深いコクに、全身の力がスッと抜けていくのがわかる。ポットでの提供で差し湯も快く応じてくれるので、正直、この優雅な時間を味わうだけでも、セット料金の元は取れてしまうんじゃないか、という圧巻の満足度でした。
スイーツ陣も盤石の布陣です。上段に鎮座する「エッグタルト」は、職人が何十層にも折り重ねたパイ生地が唇に触れた瞬間にハラハラと崩れるほど繊細。中のフィリングは、卵の優しい甘さと濃厚なコクが絶妙なバランスで凝縮されています。さらに後から別皿でサーブされた「特製杏仁ソフトクリーム」も、香料感のない天然の杏仁の香りが鼻を爽やかに抜け、口当たりもシルクのように滑らか。このあたりは、さすが食の都・中華街で頂点を極める名門の意地を感じさせますね。
老舗への愛ゆえに言わせてほしい。肝心の「点心」のこと
ただ、お茶とスイーツが筆舌に尽くしがたいほど完璧だっただけに、メインとも言える「セイボリー(点心プレート)」には、正直に言うとファンとして少し複雑な思いが残りました。

小饅頭や蒸し餃子が彩りよく並んでいるのですが、手にとってみて愕然。……少し冷めて、ぬるい。いや、ぬるいだけならまだしも、一部の皮が乾燥して硬くなっていたり、本来の透明感が失われてしまっていたり。萬珍樓という看板を掲げ、中華街の誇りを背負っているはずの商品のコンディションとしては、あまりにも残念と言わざるを得ませんでした。もちろん味のベースは良いのですが、「点心」の命は皮のモチモチ感と溢れ出す熱々の肉汁ですからね。
厨房をそっと覗いてみると、やはりデパ地下というスペースと消防上の制約上、本店のような巨大なせいろや強い火力を備えた本格的な調理設備が見当たりませんでした。設備上の限界はあるのでしょうが、老舗のプライドとして、「温め直し」であっても、せめてあの熱々でジューシーな「点心の魔法」を、デパ地下のカウンターでも見せてほしかった……。これは、萬珍樓を心から愛する一人の中華ファンとしての「期待を込めた本音」っすな。
まとめ:デパ地下の黄金のオアシスを、どう使いこなすか
正直な感想を言えば、現時点でのこのアフタヌーンティーセットは「最高峰の中国茶とスイーツ」が真の主役であり、点心はあくまで彩り、と割り切って利用するのがスマートな正解のようです。特に中国茶のクオリティは街中のカフェとは一線を画す凄まじいもので、重い買い物袋を抱えて疲れ切った身体に、あの一杯の金駿眉がどれほど深く染み渡り、心を癒してくれるか。お茶利用だけでも、この茶房を訪れる価値は十二分にありますよ。
「萬珍樓」という圧倒的なネームブランドを聞けば、期待値は必然的に高まってしまうもの。設備の制約はあるでしょうが、今後、もしあの本店さながらの熱々の点心が提供されるようになったら……それはもう、横浜駅周辺で最強のティータイム・スポットになることは間違いありません。期待しすぎず、でも信頼して。あなたも買い物の合間に、あの黄金色に輝くお茶を味わいに立ち寄ってみませんか?
僕は次は、お茶とデザート単体注文という「必勝パターン」で、あの絶品ソフトを心ゆくまで堪能しようと思います(笑)。それじゃ、また次のハマの「正直グルメレポ」でお会いしましょう!


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