関内・不老町に降臨した「広島の刺客」。キング軒の衝撃
JR関内駅の南口から、文化体育館(横浜BUNTAI)方面へ少し歩いた不老町エリア。かつて、地元の人々に愛された中華料理店「新邨昌」があったその場所に、何やら只者ではないオーラを放つ新しい麺専門店がオープンしました。その名は「キング軒」。どうも、シビれるような刺激を求めて三千里、30代男子のなおやんです。

ラーメン業界に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、こちらは「広島式汁なし担担麺」というジャンルを全国に知らしめた超有名店。広島の本店を筆頭に、東京の銀座や大手町といった感度の高いエリアにも進出していますが、今回満を持して横浜に初上陸を果たしました。すぐ近くには横浜中華街があり、本場中国の濃厚な担々麺がひしめき合う、いわば担々麺の聖地・横浜。そこにあえて殴り込みをかけてくるあたり、彼らの自信のほどが伺えますよね。
店内はカウンター席を中心とした、無駄を削ぎ落としたシンプルな造り。モダンで清潔感があり、女性一人でもフラッと入りやすい雰囲気です。オープン直後ということもあって、まだ少し店内の什器などが初々しい感じ(笑)もありましたが、それもまた新店の醍醐味。これからこの横浜の街にどう馴染んでいくのか、期待に胸が高まります。
「30回混ぜろ!」 キング軒が課す、美味への絶対条件
席に座るとまず目に飛び込んでくるのが、赤い文字で書かれた「美味しい食べ方」の極意。そこには、初めて訪れた人を一瞬戸惑わせる、大胆な指令が記されています。「食べる前に、とにかく30回混ぜてください。」

運ばれてきた「汁なし担担麺」は、エッジの効いた細めのストレート麺の上に、丁寧に味付けされたひき肉と新鮮な九条ネギがたっぷりと乗った、極めてストイックなビジュアル。丼の底には、秘伝の醤油ダレと自家製の芝麻醤(チーマージャン)、そして鮮やかなラー油が静かに沈んでいます。さあ、ここからが修行の始まりです。
指南書に従い、天地を返すようにひたすら麺と具、タレを混ぜ合わせます。10回、20回……混ぜるたびに、最高級の花椒(ホアジャオ)の華やかで暴力的なまでの香りがブワッ!と立ち上り、鼻腔をこれでもかと刺激してきます。この香りを嗅いでいるだけで、喉の奥が鳴るのがわかる。タレが麺全体にねっとりと、均一に絡みついたら、ようやく王様(キング)からの「許可」が下りた合図です。
鮮烈なシビレの後にやってくる、奥行きのある多幸感
一気に麺をすすると、まず口の中を支配するのは、山椒の鮮烈な「シビレ」!
その直後に、ゴマのまろやかさと醤油ダレのキレのある塩味が追いかけてきて、完璧なハーモニーを奏でます。中華街で見かけるようなドロリとした重厚な胡麻ペースト系の担々麺とは一線を画す、あくまでスッキリと、でも深みのある後味。細麺のプツッとした歯切れの良さが、その軽快な味わいをさらに際立たせています。
卓上には「後がけ山椒」や「お酢」が常備されており、自分好みにカスタマイズできるのも嬉しいポイント。特にお酢をひと回しすると、シビレの尖った部分がマイルドに包み込まれ、また違った奥行きが生まれるんです。これ、後半の味変としてはマストっすね。
「追い飯」成功への高い壁!? 具材配分の戦略を練れ
この手のまぜそばにおけるクライマックスといえば、残ったタレにご飯を投入する「追い飯(担担ライス)」ですよね。お店側も「半ライス」と「温泉玉子」のセットを推奨しており、僕も当然そのつもりで挑んだのですが……。
正直に告白します。僕の配分ミスなのか、具材があまりにシンプルで麺との相性が良すぎるせいか、麺を食べ終える頃には丼の底にタレもひき肉も、一粒たりとも残っていなかったんです(笑)。ご飯を優しく受け止めるだけの余力が、僕の丼には残されていなかった……。これはある意味、キングへの敗北と言えるかもしれません。
次回は「肉増し」トッピングを施すか、あるいは「麺大盛り」にして具材を温存しつつ戦うか……。ライスとの相性が最高なのは一口食べた瞬間に確信できたので、次は万全の戦略を練って、完璧な「担担ライス」を完成させたいと思います。皆さんも、追い飯を狙うなら具材の温存、これテストに出るくらい重要ですよ!
まとめ:関内の街に刻まれる、新しい「シビレ」の記憶
提供スピードも驚くほど早く、時間が限られたビジネスマンのランチとしても超優秀なキング軒。でも、その一杯の中に込められた広島のプライドと、計算し尽くされた味の構成には、思わず背筋が伸びるような凄みを感じました。横浜の担々麺カルチャーに、確実に新しい風を吹き込む一軒になるはずです。
日々の仕事に疲れ、脳に刺激が欲しくなったとき、あるいは横浜の伝統に少しだけスパイシーな刺激を加えたくなったとき。不老町の路地にあるこの暖簾をくぐってみてください。30回の攪拌の先に待つ、あの鮮烈なシビレ。あれを一度体験してしまったら、あなたも僕と同じように、あの「王様の呪縛」から逃れられなくなるかもしれません(笑)。それじゃ、また次の中毒性の高いグルメレポでお会いしましょう!


コメント